窒化チタンコーティングとは

■窒化チタンとは

略称をTiN(Titanium nitride チタニウムナイトライド)と呼び主に金属材の表面改善(硬度向上、耐摩耗性、離型性向上等)のためにコーティングを施し使用されます。コーティングとしては、金属材料であるTi(チタニウム)を真空槽内でN2(窒素)と結合させることによりTiN(窒化チタン)となり硬度が向上し、耐摩耗性が向上すると言われています。表面の摩擦係数が軽減するため滑り性、剥離性に対しても向上します。樹脂成型機用の金型やドリルの刃等にも使用されている膜で400℃程度までの環境下での実績があります。人体に対しては、大気中の大半を占めている窒素(N)を含有させているため、窒化チタン(TiN)自体も人体に対してチタン同様に極めて影響が少ない物質です。TiNは金属コーティングの代表的な膜種の一つであり最も汎用的であるとされています。価格の面に関しては、金属コーティングの中でも比較的安価かつ短納期で処理をすることができます。弊社はTiNコーティングの方法として、アークイオンプレーティング法(AIP法)でのコーティングを行っています。密着性に優れ化学的にも安定しているため物性変化が少ない膜となっています。

■TiNコーティングの特徴

化学式:TiN
色見:金色(ゴールド)
匂い:無臭
融点:およそ2950℃
膜厚:0.1~5µm
ビッカース硬度:1800Hv~2400Hv
弾性率:251GPa
熱膨張係数:9.35×10-6K-1
酸化開始温度:およそ800℃(大気中)
毒性:無毒 ※安全衛生法、FDA(食品医薬局)規制に対しても対応可能な膜。
表面粗さ:Ra=100nm~200nm
処理温度:500℃以下  ※低温処理(約250℃)

■TiNコーティングの特性

耐摩耗性、硬度向上
切削工具などの耐久性を上げます。
耐熱性
耐熱温度が向上し金属材の特性や形状の変化を防ぎます。
耐蝕性、酸化防止
金属材表面の腐食を防ぎます。
離型性
樹脂材など、母材と接触する物質との貼りつきを防ぎます。
装飾用途
金属表面が金色になります。仕上がりの粗さはもともとの下地の表面粗さに依存します。
導電性
工業用機器などに使用される絶縁材に導電性を持たせることができます。

■TiNコーティングが加工可能な材質

ステンレス材
オーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系
鉄鋼材
普通鋼、特殊鋼、鋳鋼、鍛鋼、鍛鉄
アルミ材
アルミ展伸材、アルミ鋳物材、アルミダイカスト材
チタン材
純チタン、チタン合金
銅材
純銅、高銅合金、黄銅、青銅、銅ニッケル合金

■主なTiNコーティング例

刃物全般、切削工具全般、一般金型、工業機器の摩耗部、医療用インプラント、プレス用プレート、金属装飾品全般



試作・オーダー品の処理、承ります


数多くのお問合せを頂きますが、弊社では数量1個からでも処理を行っております。専用処理となってしまうと、1個に製品に対し処理単価が全て1個に掛かってきてしまう為、非常に割高となってしまいます。なるべく費用を掛けないようにするため、他製品との混載で処理を狙い、多少納期をいただくこともございますが、なるべく御希望に添える様スケジュールの調整を行います。

対応可能コーティング
TiN(窒化チタン)、TiAlN(窒化チタンアルミ)、TiCN(炭窒化チタン)、CrN(窒化クロム)、ClAlN(窒化アルミクロム)、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)、SUSコート、撥水コート、親水コート、フッ素樹脂コート、クロムめっき、硬質クロムめっき、ニッケルめっき、無電解ニッケルめっき、亜鉛めっき、ユニクロめっき、AR(反射防止)コート

※試作時の注意事項。
・処理時に200~500℃付近の熱が掛かります。
製品の形状・材質によって、歪み・融解などの形状変化の恐れがある物は、事前に詳細を確認させて頂いてからの処理となります。
・受入検査は実施致しますが、基本弊社に到着した状態で処理を行います。事前に新品or再生品、洗浄の有無等の情報の御教示をお願い致します。
・製品に合わせて装置条件を整える事もございますので、可能であればコピー品、無ければ同じ材質の端材などを同梱して頂けると、装置条件出しがスムーズに行えますので、御協力をお願い致します。

窒化チタンコーティング
チタンと窒素を真空中で結合させることにより耐摩耗性に優れた金属膜
 
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炭素(C)を主原料としてダイヤモンドと似た構造のコーティング。金属製品表面にコーティングする事により、離型性や耐腐食性や耐久性を向上させる目的で医療分野、設備保守分野、建築分野等など広い分野で利用されている。
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金属コーティング
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ダイモール、ダイクロンコーティング、ブラストロンコーティング、無電解ニッケルメッキ、硬質クロムメッキ、フッ素複合無電解ニッケルメッキ、無電解ニッケル・ボロン、無電解ニッケル・セラミックス、硬質アルマイト、着色アルマイト、超硬チップライニング、超硬金属溶射、自溶性合金溶射、鉄系アモルファス合金溶射、プラズマ窒化、WPC処理、テフロンコーティングなど
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メッキ
メッキ
電解メッキというのは、それぞれ被膜させたい金属イオンを含んだ特殊な溶液に製品を浸し、製品に電気を通し金属イオンの引き寄せ被膜させるという手法です。
   
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窒化チタンコーディングのメリット

メリット

耐摩耗性向上 硬度が高い被膜で表面が覆われるため母材(基板)の摩耗を防ぐ事が出来る
離型性向上 摩擦係数が小さく、マイクロクラックの無い密な膜が覆われるため樹脂離れが良くなる
高密着力 従来のメッキ膜と比較した場合に、分子レベルで結合しているため剥がれにくい
デメリット

樹脂製品への密着性がない 樹脂製品へのコーティングは材料との相性があり希望にこたえられない材質がある
金額が高額 従来のメッキ処理と比較した場合に価格が5倍~50倍になってしまうこともある
アルカリ性に弱い 耐腐食性に関してはSUSよりも高い性質を持つが、アルカリ性には弱く剥離してしまう

窒化チタンコーディングのよくある質問

窒化チタンコーティングとはどのような物質ですか
A.真空装置内でチタンに窒素だけを化合させた金属です。窒素を結合させる事で安定した状態になり、一般環境下で膜の構造が変わることはほぼありません。
窒化チタンコーティングはどのような環境で使用されますか?
A.機械部品として摩擦摩耗向上や離型性向上の目的で使われていますが、最近では医療用分野、航空宇宙分野、食品加工分野、装飾分野でも多く使用されています。
窒化チタンコーティングは基材に対して密着性の相性はありますか?
A.基板の材質や表面の粗さ、洗浄度は非常に影響してきます。特にガラス材への密着性以外は大方の材質には対応可能です。密着性が確保できない場合にはバインダー層を設けることで密着性を向上させる事が可能です。樹脂製品は材質により密着性を確保できない場合があります。
窒化チタンコーティングは人体への害はありますか?
A.食品業界、医療業界等でも多様されている技術であり一般環境下での使用にあたり、特別人体に害を与えることはほぼありません。
窒化チタンコーティングの価格帯はどれくらいですか?
A.弊社装置では、通常サイズで高さ1400mm×幅1200mm×奥行200mmの成膜処理を行っております。装置自体が大きい為、1回の処理で基板の数量がいくつ入るかによっても金額は変動致しますが、数量を一つとした場合2~50万円程度を参考にご検討いただければと思います。材質・形状によっても変動致しますので、まずはご相談ください。
離型性膜は何度まで対応できますか?
A.物性特性上600度前後の環境まで使用可能です。※耐久性に関しては温度や条件にり大きく異なります。
窒化チタンコーティングの断面はどのような構造になっていますか?
A.AIPの断面は連続式の装置のためTiN膜が数層重なったような状態になります。膜質としては窒化性の高いTiN膜と低いTiN膜が交互層「になるため、靭性に優れたTiN膜をご提供できます。HCDの断面は基本的には1層の一様なTiN膜となっております。靭性が必要な場合にはTi膜を初層に設ける事があるため2層になる事がございます。
ドロップレットはどの程度ですか?
A.一般的にAIPでは100μm程度とされておりますが、弊社AIPは30μmまで抑えることができます。また、HCD法では10μm程度となり、さらに滑らかな膜表面をご提供できます。
プレス加工等の負荷がかかる部品にも成膜可能ですか?
A.窒化チタン膜はとても硬度のあるためプレスのような大荷重かかるか環境においても効果を発揮できるかと思われます。
試作は対応可能ですか?
A.随時対応させていただいております。お客様からのヒアリングをもとに、材質、納期等によってスケジュールを組み、テストを行ってから試作をすると言う流れになっています。材質・形状などによっては弊社も経験がない物もございますので、まずはお気軽にご相談ください。

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