耐衝撃性とは
耐衝撃性とは、ある物体が外部から受ける衝撃に対しての耐久性のことを言います。耐衝撃性は通常、硬さとは反比例の関係にあると言われています。金属で考えた場合、硬い金属ほど衝撃に弱く、やわらかい金属ほど衝撃に強いということです。これは金属自体が持っている靭性も深く関係しています。靭性とは、物質の脆性破壊に対する抵抗の程度、又は亀裂による強度低下に対する抵抗の程度のことで、金属などの物質自体の粘り強さのことを言います。硬度の高い金属は靭性が低く、硬度の低い金属は靭性が高いと言えます。
よって硬い金属だからと言って衝撃に対する耐久性に優れているとは言い切れないということです。靭性の測定は一般的に引張試験を行います。試験による伸び、絞りの数値が大きいものほど靭性が高い材料となります。耐衝撃性の試験方法としてデュポン衝撃性試験、アイゾット衝撃試験、シャルピー衝撃試験が挙げられます。
デュポン衝撃性試験
母材にコーティングされた塗膜自体の強度を評価する試験方法。試験内容は、装置に打ち型と受け台がありその間に試験サンプルを挟み込み規定の高さからおもりを落下させるといった内容です。落下の高さ、おもりの重さを増やしながら塗膜の割れ、剥がれが発生するおもりの最小質量や高さを測定する試験方法です。
アイゾット衝撃試験
試験片が破損する衝撃の値を求めることで母材の耐久性を知る試験法となります。試験内容は、中心に切り込みを入れた試験片を固定しその上部を振り子になっているハンマーにて横殴りにします。試験片に衝撃を加え破損させるのに要した力を試験片の幅で割った値が衝撃値となります。主に樹脂材やプラスチック材の耐衝撃性を見ることに多く使われる試験方法です。
シャルピー衝撃試験
衝撃をどれくらい吸収できたかを求めることで母材の靭性を見る試験法となります。試験内容は、試験片の左右を固定し中心に切り込みを入れ中央部にハンマーが振り下ろされます。試験片を破壊したハンマーの戻る距離の高さを見ることで母材が衝撃をどれだけ吸収できたかで靭性を求めることができます。主に金属の耐衝撃性を見ることに多く使われる試験方法です。
金属コーティングとの兼ね合い
金属コーティングは基本的に母材の硬度を上げることを目的としています。よって衝撃に対してはマイナスの要素も存在します。金属コーティングによって母材の表面硬度が高くなりすぎて耐衝撃性が低下する方向になることもあります。使用環境によってその母材が、耐衝撃なのか、耐摩耗なのかを判断し適切な表面処理(コーティング)を選定する必要があります。また、その両立を図るためには、コーティング種の選定の他に母材自体の熱処理なども考慮しなければなりません。