耐蝕性について
耐蝕性とは、ある金属が腐食に耐える性質や錆びにくかったりする性質を言います。表記には「耐蝕性」と「耐食性」がありますが、これは同等の意味であると考えて問題ありません。詳しくは太平洋戦争後、蝕という字を簡単にしようと普段使用する漢字を制限した結果、蝕という漢字の書き換えでできた熟語とされているそうです。
金属が錆びる原因
金属が錆びる原因として酸素が挙げられます。金属表面の酸化が進むことで徐々に錆として人の目に見える状態となります。例えば鉄は、雨水に濡れることで、表面についた水分が鉄を溶解しイオン化が開始します。バランスを保って電子を保持しているのを邪魔され、イオン化現象が始まります。水分は空気中の酸素と溶け込み、鉄から電子を奪い「水酸化鉄イオン」となります。また、鉄は電子を奪われたことで、「Fe2+」という「鉄イオン」となります。鉄イオンからさらに電子がなくなり、Fe2+が「Fe3+」と変化します。Fe3+は水分によって発生した水酸化鉄イオンを引き寄せ、その後水分がなくなり、「酸化鉄」という錆びとなります。
不動態被膜について
上記の原因からイオン化しにくい金属が錆びにくいこと言えますが、一般的に錆びにくいと言われているチタン、クロムなどは鉄よりもイオン化しやすい金属となっています。では、なぜ鉄よりもイオン化しやすいチタン、クロムが錆びにくいかというと、不動態被膜が形成されているからです。ステンレスで例えると、鉄にCrを混ぜ、その割合が11%を超えてくると鉄錆びはほとんど発生しなくなります。Crが鉄より酸化しやすく、表面がCrの酸化皮膜で覆われることで、それ以上に酸化反応が金属内部へ浸透するのを遮断しているからです。これを不動態化と言い、その酸化皮膜を不動態皮膜と呼びます。ステンレスの場合、Crの含有量が多いほど不動態皮膜は安定します。
不動態被膜を形成する金属一覧
ステンレス鋼、チタン、アルミニウム(アルミ合金)、クロム、ニッケル合金、ジルコニウム、ニオブ、タンタルなど
金属コーティングにおける耐蝕性
耐蝕性を向上させるコーティングは世の中にたくさんあります。例えばメッキ、塗装などが挙げられます。では、金属コーティングにおいてどんなメリットがあるのかというと、耐蝕性+耐摩耗性、滑り性、離型性などプラスアルファの機能も同時に得られることと言えます。使用環境や使用方法に応じてコーティング種を選定することができます。