株式会社寿製作所様からの量産依頼
以前、文房具各種へのTiN膜の試作コーティングを行った株式会社寿製作所様から定規への量産依頼を受けました。製品へのTiNコーティングの目的としては、2つあり1つは、装飾用途でした。もう1つは机などの環境で使用するにあたって、ある程度の耐摩耗性を向上させたいとの内容でした。試作でのTiNコーティングが色合いも含め評価され今回の量産への流れとなりました。
30cmの定規は、センター部で切り離しができるもの(パズルのような形状)となっており、分割し15cmでも使用でき、コンパクトなものにも対応できる定規でした。
製品前面にコーティングすること、60本という数量を一度にコーティングするといった条件があり、試作時の取り付け治具を見直す必要がありました。コスト、材質、パズル形状の雄側、雌側を上手くセットできる治具形状、取り付数など様々な要素を含めた設計に苦労しました。
定規の概要
名称(製品名):JOØGI
サイズ:300mm×20mm×10mm
材質:SUS304
数量:60本
受入検査
お客様から送られてきた製品はすべて加工後の新品でしたので外観検査において目立った汚れ、キズはありませんでした。
下処理、洗浄
脱脂、汚れ除去の目的で製品の全面を専用の有機溶剤にて拭き作業を行いました。定規を専用枠にセットし超音波洗浄機に流すことでより精密な洗浄を行いました。超音波洗浄は手拭き時に洗浄が行き届かない溝や凹み部を洗浄する効果があります。さらに全面を仕上げ拭き処理を行いました。洗浄後の製品に液シミなどが無いか入念に外観検査を行いコーティング工程へと流動しました。
コーティング(アークイオンプレーティング法)
製品を専用の取り付け治具にセットし台車に取り付けました。製品に治具との接触によるキズが入らないよう慎重に取り付けを行いました。次に所定の温度で成膜許可圧力まで真空加熱による脱ガスを行いました。真空加熱による脱ガスを行う事で成膜中のアウトガスが発生しにくくなりコーティングの密着性が上がります。
次に所定の時間アルゴンイオンを製品表面にたたきつけるイオンボンバード処理を行い、表面のクリーニングを行いました。イオンボンバード処理を行うことによって、さらにコーティングの密着性向上につながります。使用ガス流量、成膜時間、成膜時電流値、冷却時間等、自社のTiNコーティングの条件で成膜処理を行いました。コーティング終了後、膜厚測定を行い規定の膜厚以上に膜が着いているかを確認しました。また、外観検査を行いキズ、コート抜け、シミ、汚れ等が無いか確認を行い、梱包し発送となりました。
寿製作所様の定規について
詳しくは、下記のURLからアクセスください。
・株式会社 寿製作所 HP
https://kotobuki-seisakusho.co.jp/
・株式会社 寿製作所 公式オンラインストア
https://kanag-ec.stores.jp/