ニッケルメッキ


ニッケルは、元素記号Niで表される金属であり、特に耐食性に優れており、中性や海水の環境下でも安定した特性を発揮するといわれています。 また、融点が1455℃と高いほか、強磁性体であるのも特徴です。

無電解ニッケルめっきの特徴

1,無電解めっき(化学めっき)
通常の電解めっきは電流を必要としますが、無電解ニッケルめっきは電気を使用せずに行われます。 これにより、電流源や電極などの設備が不要となり、装置の簡素化が可能となります。

2,自己触媒作用
無電解めっきでは、化学反応や自己触媒が働きます。対象物の表面で特定の化学薬品が反応して、ニッケルが析出し、めっきを形成します。

3,特殊な形状に適している
無電解めっきは、特殊な形状やサイズを持つ物体に対しても適しています。電極を配置する必要がないため、対象物体の形状に柔軟に対応できます。また、めっき対象物が小さなものにも適しています。

4,硬度アップ、耐摩耗性
無電解ニッケルめっきは、表面の硬度を上げ耐摩耗性を向上させることができます。

5, めっき速度
無電解ニッケルめっきはめっき速度が遅い傾向があります。 これは、めっき膜の形成に時間がかかるためです。 このため、大量生産の場合には処理時間が増加する可能性があります。

6,化学薬品の選定、処理
無電解めっきには特定の化学薬品が使用されますが、これらの薬品の検討や処理方法によっては、環境への影響が懸念されることがあります。適切な医薬品の検討と適切な処理が必要となります。

無電解ニッケルめっきの工程

①前処理
めっきを行う前に、めっき対象物を洗浄し、表面から油、ほこり、汚れなどを取り除きます。これによってめっき膜の密着性が向上します。さらに酸洗浄により表面を酸性の溶液で処理し、不純物を取り除きます。これにより被めっき物の体の表面がより活性化されます。

②無電解ニッケルめっき処理
準備された対象物は、めっき槽に浸され、無電解めっき液にさらされます。この液体には、ニッケルイオンおよびめっきプロセスを促進する化学物質が含まれています。温度、めっき液の組成、および処理時間などのパラメータを制御して、望ましいめっき層の特性を得るためにプロセスを最適化します。

③めっき後の洗浄、乾燥
めっき後、基材を洗浄してめっき液を除去します。これによって残留物や比較的危険な薬品を取り除きます。 一般的に、めっき後の洗浄は複数回行われます。 その後、乾燥させ水分による表面の酸化を防ぎます。

⑤品質確認、外観検査
めっき膜の厚さを測定し、仕様に合うように適合確認します。また、めっき膜がめっき製品にしっかりと密着しているかどうかを検査します。その後、製品の外観確認を行います。キズ、汚れ、シミ、めっき剥がれ、めっきの均一性等を確認し問題が無ければ梱包、発送となります。

無電解ニッケルめっきは、特に特殊な形状や小型部品において性能を発揮することがあります。ただし、めっきの均一性や密着性、めっき速度の遅さなど、特有の課題もあります。工程や条件を見極め、品質管理を十分に行うことが、無電解めっきの実用性を確保するために必要となります。