お客様からのご要望

米製造機用排出シューター内壁へのフッ素樹脂コーティング酒造用の専用装置に組み込まれる排出シューターの内壁に離型性(非粘着性)のあるコーティングは無いかとの問い合わせがありました。お客様は蒸された米が通過する際に排出シューターに米が張り付いてしまうという内容で困っていました。日本酒などの酒造の初期工程には下記のような工程が存在します。

①洗米工程(自動洗米機や手洗いで米表面の糠を取り除く工程)
②蒸し工程(生の米を蒸して生でんぷんをαでんぷん化させる)
③蒸米の放冷(無仕上がりの米を冷却機等で冷やしながらエアシューターで蒸米を送る)
上記③の蒸米の放冷にて冷却しきっていない米が排出シューターに張り付くといった内容でした。弊社からはフッ素樹脂コーティングを提案しました。またコーティング後の表面の仕上がりに粗さが出るようなフッ素樹脂コーティングを選定しました。仕上がりに粗さを出すことでさらに離型性(非粘着性)を上げることができます。

米製造機用排出シューターの概要

サイズ:横1210mm×縦300mm×高さ430mm
材質:SUS304
数量:1個

受入検査

お客様から送られてきた製品は使用中の中古品でしたので外観検査において全体的に汚れがありました。また、多少のスレキズやキズの中に入り込んだ汚れがありました。コーティングの密着性を上げるためにこれらの汚れを除去する必要があります。

下処理、洗浄

脱脂、汚れ除去の目的で製品の全面を専用の有機溶剤にて拭き作業を行いました。細かいキズの中の汚れ等も入念に洗浄を行いました。マイクロスコープを使用してキズの中の汚れの確認を行いました。さらに全面の仕上げ拭き処理を行いました。洗浄後の製品に液シミなどが無いか入念に外観検査を行いコーティング工程へと流動しました。

コーティング

米製造機用排出シューター内壁へのフッ素樹脂コーティングフッ素樹脂コーティングに使用する塗料には様々な種類があります。今回はフッ素樹脂塗料の中でも耐摩耗性、離型性(非粘着性)を向上できるものを選定しました。塗料と母材の密着性を上げるために、サンドブラスト、化成処理など表面処理を行う事もあります。コーティング方法としてスプレー、浸漬があります。塗布後は焼成炉にて焼き付け処理を行います。母材にかかる温度は400℃程度になります。母材の材質によっては加熱時に変形などもありますが、今回はステンレスだったので変形に関しては問題ありませんでした。お客様の要望が短納期だったため、体積が大きいシューターのコーティング後の硬化に時間がかかるためコーティング作業を最短で完了させることに苦労しました。その後外観確認を行いお客様へ出荷となりました。

使用期間について

現在は客先にてコーティングの効果を発揮し、蒸米が張り付くことなく酒造がスムーズに行えているとの声をいただきました。