お客様からのご要望

DLC膜コーティング船舶噴射用のプランジャーポンプに組み込まれるシャフトへの耐摩耗性、滑り性向上のためコーティング依頼がありました。プランジャーポンプとは、プランジャー(ロッド状のピストン)をカムやクランクなどにより往復運動させ、容積変化をさせて液体を吸込み側より吐出し側へ押出す方式の容積式の往復ポンプです。プレス駆動及びアキュームレーター・ステーション、ボイラー給水、コンテナー、パイプラインの圧力テスト、高圧プロセス、など様々な場面で使用されています。

今回のシャフトには対になる部品があり、その部品との摩耗によるシャフトの劣化が問題との内容でした。滑り性と耐摩耗性を向上させるためにDLC(ダイヤモンドライクカーボン)のコーティングを提案しました。お客様から短納期での依頼であったため、治具作成など早急なプランニングを行い対応しました。

船舶用エンジンシャフトの概要

サイズ:φ40mm×L193.1mm
材質:SCM415
数量:40本

受入検査

お客様から送られてきたシャフトは全て新品でしたので外観検査において全体的に目立った汚れはありませんでした。また、キズやシミに関してもコーティングに問題が出るようなものは無くきれいな状態で納品していただきました。コーティングの密着性を上げるために外観が正常である必要があるため大変助かりました。

下処理、洗浄

脱脂、汚れ除去の目的で製品の全面を専用の有機溶剤にて拭き作業を行いました。角部に汚れ等が残りやすいので細い綿棒などを使用し洗浄を行いました。また、マイクロスコープを使用して汚れの確認を行いました。さらに全面の仕上げ拭き処理を行いました。洗浄後の製品に液シミなどが無いか入念に外観検査を行いコーティング工程へと流動しました。

コーティング

DLC膜コーティング製品取付用治具の設計に苦労をしました。コーティング範囲は基本的に全面指定だったため、コーティング後に膜カケが発生しないような治具を準備しました。成膜中の熱によりアウトガスが発生した場合、コーティングの密着性を損なってしまう可能性があるので、真空過熱を十分に行いました。所定のコーティング条件により問題なくコーティングが完了しました。製品冷却後、装置から取り出し外観確認を行いました。目立った治具跡はついておらず、コート抜け、シミなどの外観の問題もなく梱包、発送となりました。

使用期間について

現在はシャフトの耐久性問題が解決され、リピートで依頼も受けております。