お客様からの要望

お客様からの依頼内容としてパチンコ玉全面にTiNコーティングの話がありました。パチンコ玉にはクロムメッキ品とメッキなし(母材の状態)の2種類で試せないかとのお話でした。パチンコ玉の正式名称は遊技球と言い、パチンコ店には、4円パチンコや1円パチンコがあり、店によってパチンコ玉の色を金色に変更し識別するところもあります。お客様からのメインの要望は、装飾用途で全面金色であることでした。またTiNコーティングの通常の硬度(Hv2000程度)で耐摩耗性があること、光沢感を損なわないことが挙げられました。

パチンコ玉(2種類)の概要

サイズ:φ11(2種類ともに) 
材質:鋼製(炭素含有)
数量:各5個

受入検査

お客様から送られてきた製品はすべて新品でしたので外観検査において目立った汚れ、キズはありませんでした。

下処理、洗浄

超音波洗浄機にて洗浄を行う際に玉同士がぶつかり、傷が入ることが想定できたので、洗浄中でも製品同士がぶつからないような専用の洗浄枠を作成しました。遊技球を専用枠にセットし超音波洗浄機に流すことでより傷が入ることなく精密な洗浄を行うことができました。超音波洗浄は手拭き時に洗浄が行き届かない溝や凹み部を洗浄する効果があります。さらに全面を仕上げ拭き処理を行いました。洗浄後の製品に液シミなどが無いか入念に外観検査を行いコーティング工程へと流動しました。

コーティング(ホローカソードディスチャージ法)

パチンコ玉遊技球洗浄時と同様に、コーティング中の回転による傷防止のため、コーティング専用の治具を作成しました。回転させながら製品全面にコーティングできるような治具で、さらに傷をつけないような専用の取り付け治具を作成するのには苦労しました。製品を専用治具にセットし台車に取り付けました。次に所定の温度で成膜許可圧力まで真空加熱による脱ガスを行いました。真空加熱による脱ガスを行う事で成膜中のアウトガスが発生しにくくなりコーティングの密着性が上がります。

次に所定の時間アルゴンイオンを製品表面にたたきつけるイオンボンバード処理を行い、表面のクリーニングを行いました。イオンボンバード処理を行うことによって、さらにコーティングの密着性向上につながります。使用ガス流量、成膜時間、成膜時電流値、冷却時間等、自社のTiNコーティングの条件で成膜処理を行いました。コーティング終了後は冷却、取り出しを行いました。テストピースにて膜厚測定を行い規定の膜厚以上に膜が着いているかを確認しました。その後、外観検査にてキズ、コート抜け、シミ、汚れ等が無いか確認を行い、梱包し発送となりました。

納品後のお客様の声

製品の使用効果については現在、客先にて試験中です。