エッチングとは

金属が腐食する現象を利用した加工方法です。金属、ガラス、セラミックスなどの表面形状の創製を行う場合の加工法の一つとなります。耐蝕性材料を被覆(マスキング、パターニング)し酸やアルカリなどの溶液に浸漬させ耐蝕性材料が覆われていない部分を溶解する事で様々な形を形成することができます。世の中には、産業用機器、治具、ディスク、基板、プレートなど幅広い分野でエッチング加工が施されているものが存在します。

エッチングの種類

エッチングには主に3種類の加工方法があります。腐食させるために使用するものが液体の場合とガスの場合、電気の場合があります。腐蝕溶解をする性質を持っている液体を使用し表面加工を行う場合をウェットエッチング、反応性気体(エッチングガス)やイオン、ラジカルによって材料をエッチングするガスを使用する場合をドライエッチングといいます。ドライエッチングにも様々な種類があります。反応性ガスエッチング、反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング、イオンビームエッチング、反応性レーザービームエッチングが挙げられます。また直流電力を供給し材料を陽極として電気化学的に表面加工を行う場合を電解エッチングと言います。非加工部をマスキングするためにあらかじめ非加工部と同形状の電極を陰極として用い通電させることで効率よく狙った形状を作り出すことができます。このように形状や材質、用途などに合わせてエッチング方法を選定します。

ウェットエッチングとドライエッチングの比較

ウェットエッチングの特徴として、一度に大量の処理ができ量産向きです。装置や薬品の価格が安いこともメリットと言えます。ドライエッチングに比べてエッチマスクの選択の幅が広く、エッチングされる母材に与える損傷が少ないです。しかし、精度の高い微細加工が難しい、薬品の温度や攪拌速度によってエッチングレートが変化するため、エッチングの再現性に乏しいなどのデメリットもあります。ドライエッチングの特徴としては、エッチング後の洗浄を必要としない、フォトレジストとの選択性が高い、精密な加工が可能であるといったメリットがあります。しかし、装置が高価であること、危険な反応ガスを使用することなどのデメリットもあります。ウェットエッチングとドライエッチングにはそれぞれメリットとデメリットが存在し加工条件によってエッチング方法を使い分ける必要があります。