主な洗浄の目的としては、以下の様な目的となります。
汚れの除去
製造プロセスや使用中に付着した汚れや油、潤滑剤、粉塵などを取り除く。
部品の精度向上
微細な部品や機械の動作に影響を与える異物を除去し、部品の正確な動作を確保。
耐久性向上
汚れや腐食性物質を取り除くことで、部品の劣化を防ぎ、寿命を延ばす。
安全性の確保: 部品が清潔であることで、製品の信頼性や安全性が向上。
洗浄方法
手洗い
ブラシやウエスなどを使用して手作業で汚れを除去。
超音波洗浄
超音波の振動によって、微細な汚れを水や溶剤で洗い落とす。
溶剤洗浄
油脂や汚れを溶かすための化学溶剤を使用して洗浄。
高圧洗浄
高圧の水や空気で汚れを吹き飛ばす。
蒸気洗浄
蒸気の力で汚れを浮かせて取り除く。
洗浄の選択は、部品の素材、形状、使用環境に応じて適切な方法が選ばれる必要があります。
表面処理前の洗浄は、部品の表面に付着した汚れや酸化物、油分を完全に除去することで、表面処理の品質を向上させ、処理の均一性を確保するために重要です。表面処理にはメッキ、塗装、酸化皮膜処理などが含まれますが、いずれの方法においても、下地の表面が清潔であることが必要です。
表面処理前に適した洗浄方法
脱脂洗浄
目的は、部品表面に付着した油分、潤滑剤、グリースなどの油性汚れを除去。
油分を溶かすために、有機溶剤を使用する。エタノールやトリクロロエチレンなどの溶剤を使うことが一般的。
水に溶けるアルカリ性の洗浄剤で、油分を化学的に分解したりする。
メッキや塗装前の脱脂処理として行う。
酸洗(ピクルス処理)
目的は、酸化皮膜、サビ、スケールなどの金属表面に形成された酸化物を除去。
酸溶液(硝酸、塩酸、リン酸など)に部品を浸して表面の酸化物を溶かす。
メッキや溶接前の酸化層除去。
超音波洗浄
目的は微細な汚れや粒子を洗浄し、表面を滑らかにする。
超音波振動を溶液に伝え、汚れを浮かせて落とす。特に複雑な形状の部品や微細な汚れの除去に有効。
精密機械部品や医療機器の表面処理前の洗浄に用いる。
高圧洗浄
目的は目に見える汚れや粉塵、油分を物理的に除去。
高圧の水や蒸気を噴射して汚れを吹き飛ばす。大きな部品や大量の部品を短時間で洗浄可能。
大型部品や産業機器の洗浄に用いられることが多い。
ブラスト処理(サンドブラスト、ショットブラスト)
目的は表面の粗さを調整し、汚れや錆を物理的に除去。
砂や金属粒子を高圧で吹き付け、表面の不純物を削り取ると同時に表面を粗くして、メッキや塗装の密着性を向上。
メッキ、塗装、粉体塗装の前処理としてよく使用される。
物理的に表層を一膜剥がすことが出来るが、メディアの残りも懸念されるため、さらにすすぎ洗いが必要となる。
洗浄選択のポイント
素材の耐性は化学薬品や高温・高圧に耐えるかどうか。
油汚れ、酸化物、微粒子など、付着物に適した洗浄方法を選ぶ。
メッキ、塗装、酸化皮膜処理などの処理により、求められる表面状態が異なるため、適した洗浄方法の選定。
これらの洗浄プロセスを適切に組み合わせることで、表面処理の効果を最大限に引き出すことができます。表面処理前の洗浄は、とてつもなく重要なプロセスとなり、洗浄無しでは表面処理は出来ません。各社、洗浄方法もノウハウとなり、いかに下地をクリーンな状態にするかで安定した品質を保っています。