お客様からのご要望

半導体装置内に使用される銅製品へのTiNコーティング依頼がありました。お客様の要望としましては、銅自体が持つ伝導率を下げたいといった内容でした。銅材へのTiNコーティングの実績があった事から、膜種は低温TiNを提案しました。低温にすることでコーティング時にかかる熱による基板の変形が軽減できます。依頼された同製品は3種類ありそれぞれテストピースにて成膜テストを行ってからの製品へのコーティングといった流れとなりました。3種類の違いとして、C1720はベリリウム銅系、5191P-H とC5210EHはリン青銅系となっており、それぞれ主成分が多少異なり、比重、縦弾性係数、電気伝導率、熱伝導率、線膨張係数などに違いがあります。

銅製品の概要

サイズ:14.5mm×5mm×0.2t
材質:C1720、C5191P-H、C5210EH
数量:6個(各2枚)

受入検査

お客様から送られてきた製品は脂汚れ、サビ、スレ傷などがあるものでした。SK材は錆びやすく保管状況や管理に気を遣う材料の1つです。サビ除去のため表面を研磨材で磨き上げました。番手の粗い研磨材から徐々に番手を上げていき製品の表面粗さに気を付けながら慎重に行いました。

下処理、洗浄

脱脂、汚れ除去の目的で製品の全面を専用の有機溶剤にて拭き作業を行いました。再度仕上げを行った後に、洗浄機にて洗浄を行いました。洗浄上がりの製品に液シミなどが無いか入念に外観検査を行いコーティング工程へと流動しました。

コーティング(アークイオンプレーティング法)

製品を専用の取り付け治具にセットし台車に取り付けました。製品に治具との接触によるキズが入らないよう慎重に取り付けを行いました。次に所定の温度で成膜許可圧力まで真空加熱による脱ガスを行いました。次に所定の時間アルゴンイオンを製品表面にたたきつけるイオンボンバード処理を行い、さらに表面のクリーニングを行いました。イオンボンバード処理を行う事によってコーティングの密着性向上につながります。イオンボンバード時にも低温の条件で処理を行いなした。

使用ガス流量、成膜時間、成膜時電流値、冷却時間等、自社の低温TiNコーティングの条件で成膜処理を行いました。コーティング終了後、膜厚測定を行い規定の膜厚以上に膜が着いているかを確認しました。また、外観検査を行いキズ、コート抜け、シミ、汚れ等が無いか確認を行い、梱包し発送となりました。

使用期間について

お客様から特に問題なく使用できています。リピート品も考えています。との声をいただいています。