お客様からのご要望

ヘキサレンチ
ヘキサレンチにTiNコーティングをしてほしいとの依頼がありました。ヘキサレンチの種類の中でもトルクスネジタイプのレンチでした。

トルクスとは六角星型のネジ頭の規格を示します。お客様の要望として、耐摩耗性、耐腐食性、硬度向上を希望しており、レンチ本体の耐久性を目的とした内容でした。

また、レンチには250℃の焼き戻し処理がされており熱をかけたくないとの事だったので、250℃以下の低温でのコーティング処理となりました。焼き戻し温度以上の熱がかかってしまった場合、金属の性質が変化してしまう恐れがあるので、低温でのコーティングが必須となりました。

ヘキサレンチの概要

サイズ:φ6.35×150㎜
材質:工具鋼
数量:5本

受入検査

お客様から送られてきたヘキサレンチの外観検査を行いました。表面のキズ、シミ、汚れなどが無いかの確認を行いました。それぞれ問題が無い事を確認したのち洗浄工程へと流動しました。

下処理、洗浄

脱脂、汚れ除去の目的で製品の全面を専用の有機溶剤にて拭き作業を行いました。再度仕上げ拭きを行った後に、洗浄機にて洗浄を行いました。洗浄上がりの製品に液シミなどが無いか入念に外観検査を行いコーティング工程へと流動しました。

コーティング

製品を専用の取り付け治具にセットし台車に取り付けました。製品に治具との接触によるキズが入らないよう慎重に取り付けを行いました。

次に低温コーティング用の温度で真空加熱による脱ガスを成膜許可圧力まで行いました。次に所定の時間アルゴンイオンを製品表面にたたきつけるボンバード処理を行い、さらに表面のクリーニングを行いました。

イオンボンバード処理を行う事によってコーティングの密着性向上につながります。この作業を行う時もレンチ自体に250℃以上熱がかからないよう低温コーティング用の時間でボンバード処理を行いました。

使用ガス流量、低温用成膜時間、成膜時電流値、冷却時間等、自社のTiNコーティングの条件で成膜処理を行いました。目標膜厚が2µmだったため数バッチに分けてのコーティングとなりました。コーティング終了後、膜厚測定、外観検査を経て梱包し発送となりました。