お客様からのご要望

イヤーモールドへTi膜コーティング補聴器用イヤーパッドの試作品の表面にTiコーティングをできないかとの相談がありました。

弊社HPに記載されている金色のTiN膜ではなく、シルバー色のTi系の膜で表面処理をしてほしいとの内容でした。コーティングの目的は、SS400の材質に対して金属アレルギー対策をしたいといった内容でした。基材自体の材質をTiに変更する事はコストがかかるのでコーティングで対応したいとのことでした。

イヤーモールドの概要

サイズ:およそ18mm×22mm×14mm
材質:鉄(SS400)#800仕上げ
数量:3種類3セット(合計9セット)

受入検査

お客様から送られてきた製品の外観確認を行いました。表面の汚れ、シミ、キズ、カケ等が無いか入念に検査しました。

下処理、洗浄

脱脂、汚れ除去の目的で製品の全面を専用の有機溶剤にて拭き作業を行いました。再度仕上げを行った後に、洗浄機にて洗浄を行いました。洗浄上がりの製品に液シミなどが無いか入念に外観検査を行いコーティング工程へと流動しました。

コーティング(アークイオンプレーティング法)

製品を専用の取り付け治具にセットし台車に取り付けました。製品に治具との接触によるキズが入らないよう慎重に取り付けを行いました。次に所定の温度で成膜許可圧力まで真空加熱による脱ガスを行いました。

次に所定の時間アルゴンイオンを製品表面にたたきつけるイオンボンバード処理を行い、さらに表面のクリーニングを行いました。イオンボンバード処理を行う事によってコーティングの密着性向上につながります。

使用ガス流量、成膜時間、成膜時電流値、冷却時間等、自社のTi系コーティングの条件で成膜処理を行いました。コーティング終了後、膜厚測定を行い規定の膜厚以上に膜が着いているかを確認しました。また、外観検査を行いキズ、コート抜け、シミ、汚れ等が無いか確認を行い、梱包し発送となりました。

出来上がった製品を発送後、お客様よりイヤーモールドに指で触った時の指紋跡が残らないようにしたいとの追加要望が出てきました。弊社からは、成膜前に表面のサンドブラスト処理を行ってからのコーティングを提案しました。

3種類のメディアでそれぞれ、#80、#100、#120の粗さでサンドブラスト処理後サンプルを作成しました。ブラスト処理なし、#80、#100、#120の計4種類を成膜し発送いたしました。

お客様からの声

ブラスト処理なしよりも指紋が目立ちにくくなりました。コーティング後の色見に関しても満足した結果ですとの回答をいただけました。