お客様からのご要望

今回のマスタープレートはコンプレッサーの部品の選別を行うガイド役として機械に組み込まれるものでした。プレートと部品が擦れながら選別が行われるので耐摩耗性をアップさせ長寿命化を図りたいとの要望でした。

マスタープレートの概要

サイズ:60mm×60.5mm×20mm(貫通穴有り)
材質:SKD11
数量:1個

受入検査

お客様から送られてきた製品の汚れ、シミ、キズなどがないか確認しました。加工面によって表面粗さの違いがあり、表面が荒れている面に関してはシミ、汚れ、油分の残りといった外観の不備がありました。

下処理、洗浄

マスタープレート脱脂、汚れ除去の目的で製品の全面を専用の有機溶剤にて拭き作業を行いました。また、ボルト穴などの洗浄不足から成膜中のアウトガス発生により膜の密着性低下になる可能性があるので、貫通穴の内部を徹底して洗浄しました。再度仕上げを行った後に、洗浄機にて洗浄を行いましたが表面が荒れている面に関してはシミが残ってしまい洗浄機の条件を変更して再度洗浄を行ったが改善されませんでした。

お客様に表面磨きの許可をいただきました。専用の研磨材でなるべく表面粗さを変えないよう慎重に磨き作業を行いシミの除去を行いました。再度洗浄機にて洗浄を行い製品表面が全て清浄な状態となりました。

コーティング(アークイオンプレーティング法)

貫通穴を利用し、製品を作成した治具にセットし台車に取り付けました。製品に治具との接触によるキズが入らないよう慎重に取り付けを行いました。
次に所定の温度で成膜許可圧力まで真空加熱による脱ガスを行いました。次に所定の時間アルゴンイオンを製品表面にたたきつけるイオンボンバード処理を行い、さらに表面のクリーニングを行いました。イオンボンバード処理を行う事によってコーティングの密着性向上につながります。

使用ガス流量、成膜時間、成膜時電流値、冷却時間等、自社のTiNコーティングの条件で成膜処理を行いました。コーティング終了後、膜厚測定を行い規定の膜厚以上に膜が着いているかを確認しました。また、外観検査を行いキズ、コート抜け、シミ、汚れ等が無いか確認を行い、梱包し発送となりました。

使用期間について

お客様より、コーティング後の見た目の状態に関して、色見、使用感共に非常に良いといった言葉をいただけました。今後、さらに使用回数を増やして耐摩耗性の効果を確認していく予定との事でした。