一般的に、フッ素樹脂コーティングと言われると首を傾げる人の方が多いかもしれませんが、テフロンコーティングと聞くとどうでしょうか?耳にしたことがある人の方が多いのじゃないでしょうか?テフロンコーティングという名称自体は、1930年アメリカのデュポン社によって発見され、商標名テフロンとして市場に登場しました。皆さんが良く耳にするテフロン=フッ素樹脂という事になります。
フッ素樹脂の性質は、炭素と炭素間結合の重合物を基幹としてその周りを安定性のあるフッ素原子で囲まれている構造の不活性さに起因した性質となります。他の工業製品では得られないような物理特性や化学特性、電気特性などを有し、フッ素原子が非常に安定して結合している為熱による脱離の不安も少なく、身近な家庭用の厨房機器から最先端の宇宙航空機器に至るまで、様々な用途に利用されています。
一般的に知られている特性として、離型性(非粘着性)、滑り特性、絶縁性、耐摩耗性、耐薬品性などが知られています。フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)にも種類があり、PTFE(四フッ化ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化六フッ化プロピレン共重合体)、ETFE(エチレン四フッ化エチレン共重合体)などの種類に分類されます。
〇PTFE(四フッ化ポリテトラフルオロエチレン)
耐熱温度 約260℃。非粘着性、低摩耗性に優れるが、耐蝕用途には向かない。
〇PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)
耐熱温度 約260℃。非粘着性に優れ、耐蝕用途に優れる。厚膜コートも可能で、幅広い用途に使われる。
○FEP(四フッ化・六フッ化プロピレン共重合体)
耐熱温度 約200℃。耐熱温度が低めなので、高温になりにくく滑り性を上げたい場所に適している。
○ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)
耐熱温度 約150℃。耐熱温度は低いが、厚膜コーティングが可能の為、耐蝕用途に使われる。一口にフッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)と言えど、大まかに分けてこれだけの種類があります。それぞれ特性が違う為、使用環境に応じたフッ素樹脂を選定する必要があります。
コーティングをする方法としては、スプレーガン、または静電粉体塗装機などを用いて、吹き付け焼き付け塗装を行うのが一般的です。
母材自体に汚れ・油などが付いていたりすると、剥離を起こすこともある為、前洗浄がとても重要となってきます。
フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)自体は経年劣化をしませんが、長時間水にさらされる、薬品に付けるなどの環境下によっては、それら自体が被膜に浸透し、被膜下の母材自体が腐食され、そこから被膜が剥がれるなどの恐れはあります。フライパンなどに被膜されているフッ素樹脂が剥がれ、体内に入ったとしても、人体に吸収されないため、食品安全性が高いとの実証も得ています。
フッ素樹脂コーティング(テフロンコーティング)は、母材自体が腐食されていなければ、再コーティング可能となる為、一度剥離をし、再度コーティングをし直せば、もう一度元の特性を取り戻すことが可能です。