お客様からのご要望

海外工場で使用しているの機械の一部である芯金へのTiNコーティング依頼がありました。お客様の要望としましては、同じ機械に設置される対の部品との間に銅材の製品が入り込むときの摩耗を軽減させ、芯金の長寿命化をしたいとの内容でした。(耐摩耗性、硬度向上)今回は円柱状の形状の1面のみTiNコーティングを希望されました。

芯金の概要

サイズ:φ29×50mm
材質:SK材(焼き入れ無し)
数量:4個(2セット)

受入検査

お客様から送られてきた製品は脂汚れ、サビ、スレ傷などがあるものでした。SK材は錆びやすく保管状況や管理に気を遣う材料の1つです。サビ除去のため表面を研磨材で磨き上げました。番手の粗い研磨材から徐々に番手を上げていき製品の表面粗さに気を付けながら慎重に行いました。

下処理、洗浄

脱脂、汚れ除去の目的で製品の全面を専用の有機溶剤にて拭き作業を行いました。再度仕上げを行った後に、洗浄機にて洗浄を行いました。洗浄上がりの製品に液シミなどが無いか入念に外観検査を行いコーティング工程へと流動しました。

コーティング(アークイオンプレーティング法)

製品を専用の取り付け治具にセットし台車に取り付けました。製品に治具との接触によるキズが入らないよう慎重に取り付けを行いました。次に所定の温度で成膜許可圧力まで真空加熱による脱ガスを行いました。次に所定の時間アルゴンイオンを製品表面にたたきつけるイオンボンバード処理を行い、さらに表面のクリーニングを行いました。イオンボンバード処理を行う事によってコーティングの密着性向上につながります。

使用ガス流量、成膜時間、成膜時電流値、冷却時間等、自社のTiNコーティングの条件で成膜処理を行いました。コーティング終了後、膜厚測定を行い規定の膜厚以上に膜が着いているかを確認しました。また、外観検査を行いキズ、コート抜け、シミ、汚れ等が無いか確認を行い、梱包し発送となりました。

使用期間について

お客様で試験中。見た目でのコーティング状態は良好。