オールステンレス包丁へのTiN膜コーティング日常に使うものにTiNコーティングを施し実際に使用して効果を確認することを目的としました。市販で売られているフライパン購入の際に、全面ステンレス製(もしくは全面金属製)を選定しました。理由として、コーティング装置内は真空状態でコーティング時には400~500℃の熱がかかるため金属以外(樹脂、プラスチック等)のものがある事で、それらが溶け出しガス化して装置内の汚染、コーティング時の密着不良につながるからです。TiNコーティング後、コーティング有無で、水分のある食材などが包丁の側面に付着しないか(離型性)を比較したいと思います。

オールステンレス包丁の概要

サイズ:全長約350mm、(持ち手部約150mm)※持ち手部もSUS製
材質:SUS304
数量:1個
※刃先にキズや打痕が入らないよう、また刃先による作業者へのキズにも注意を払いすべての工程で取扱いには十分気を付けて作業を進めました。

外観検査

購入後の品検査時に目立ったキズ、指紋(脂分)などはありませんでした。

下処理、洗浄

脱脂、汚れ除去の目的で製品の全面を専用の有機溶剤にて拭き作業を行いました。再度仕上げを行った後に、超音波洗浄を行いました。洗浄上がりの製品に液シミなどが無いか入念に外観検査を行いコーティング工程へと流動しました。

コーティング(アークイオンプレーティング法)

製品を専用の取り付け治具にセットし台車に取り付けました。製品に治具との接触によるキズが入らないよう慎重に取り付けを行いました。次に所定の温度で成膜許可圧力まで真空加熱による脱ガスを行いました。次に所定の時間アルゴンイオンを製品表面にたたきつけるイオンボンバード処理を行い、さらに表面のクリーニングを行いました。イオンボンバード処理を行う事によってコーティングの密着性向上につながります。

使用ガス流量、成膜時間、成膜時電流値、冷却時間等、自社のTiNコーティングの条件で成膜処理を行いました。コーティング終了後、膜厚測定を行い規定の膜厚以上に膜が着いているかを確認しました。また、外観検査を行いキズ、コート抜け、シミ、汚れ等が無いか確認を行いました。外観は問題なくコーティング工程が終了となりました。