お客様からのご要望

コーヒーグラインダー刃へのTiN膜コーティング某コーヒーグラインダーメーカー手挽き用のグラインダー刃の耐久性を向上させたいとの要望がありました。コーヒー豆とは、密度が高いものほど硬く質が良いとされているそうです。硬い豆を挽くことによりグラインダー刃は摩耗して耐久性は徐々に下がってしまいます。豆の硬さやグラインダーの使用頻度にもよりますが、通常1年程度で刃は交換しているとの事でした。コーヒー豆は挽き後の粒度によって味が異なるためグラインダー刃の摩耗度合いは味に対し大きな影響を与えてしまいます。今回は耐摩耗性に有効なTiNコーティングを提案させていただきました。

コーヒーグラインダー(コニカル刃)の概要

サイズ:φ40×高さ20mm、φ30×高さ30mm
材質:ステンレス鋼
数量:1セット

受入検査

お客様から送られてきた製品は新品未使用の状態でした。外観検査時には目立った外観の不備は無く、汚れ、シミ、キズなどがないか確認し洗浄工程へ流動しました。

下処理、洗浄

脱脂、汚れ除去の目的で製品の全面を専用の有機溶剤にて拭き作業を行いました。グラインダー刃は、いびつな形状をしていたため色々な洗浄用具を使用して前面を洗浄しました。再度仕上げ拭きを行った後に、洗浄機にて超音波洗浄を行いました。洗浄上がりの製品に液シミなどが無いか入念に外観検査を行いコーティング工程へと流動しました。

コーティング(アークイオンプレーティング法)

コーヒーグラインダー刃へのTiN膜コーティング製品を専用の取り付け治具にセットし台車に取り付けました。製品に治具との接触によるキズが入らないよう慎重に取り付けを行いました。次に所定の温度で成膜許可圧力まで真空加熱による脱ガスを行いました。次に所定の時間アルゴンイオンを製品表面にたたきつけるイオンボンバード処理を行い、さらに表面のクリーニングを行いました。

イオンボンバード処理を行う事によってコーティングの密着性向上につながります。使用ガス流量、成膜時間、成膜時電流値、冷却時間等、自社のTiNコーティングの条件で成膜処理を行いました。コーティング終了後、膜厚測定を行い規定の膜厚以上に膜が着いているかを確認しました。また、外観検査を行いキズ、コート抜け、シミ、汚れ等が無いか確認を行い、梱包し発送となりました。

お客様の声、感想、使用期間について

コーヒーグラインダー刃へのTiN膜コーティング仕様し始めてすぐの感想としては、初期段階のグラインダー刃の耐久性には問題ないとのことでした。現在、お客様の方でTiNコーティング前後での耐久性の比較をされています。